九月歌舞伎座の夜の部
歌舞伎座の夜の部を見たのです。『勧進帳』の配役が日替わりだったので、両方の配役を見てきました。
このブログの「ふくきち」という名前は、私の心酔する中村福助の「ふく」と中村吉右衛門の「きち」から勝手に取ってきたものです。お二人が「寺子屋」で顔を合わせるとのことで、発表されてからもう気もそぞろでした。
はたして「寺子屋」は実に名演でした。2回見て2回ともズルズルと泣いてしまいました。周りも多くの方が泣いているようでした。今回は菊之助さんの千代も良かったですね。これだけの「寺子屋」は今後なかなか見られなくなるでしょうから、多くの人に見ておいていただきたいものです。
そして『勧進帳』。仁左衛門さんの弁慶は約10年ぶりだそうです。もうそんなに経つのですね。
仁左衛門さんの弁慶は、見慣れた他の方々とずいぶん違っていたので、新鮮でした。どういうところが違っていたのかと言いますと、まず一つは「お能の味わいが濃い」ということ。特に足の運びにお能らしさが感じられました。他の方はああいうふうにはなさらないですよね。わざとお能から変えているのかと思っていました。片足ずつ上げて拍子を踏む時の頭の位置の安定感などにも、お能らしさを感じました。そして二つには「仏教色が濃い」ということ。弁慶が「急急如律令」と口にした時に、本当に何か特別なことが起こるのではないかと私は感じたのです。そういうことは、やはり仁左衛門さんが京都のお生まれで、読経や声明などが身近なものだったから出来ることなのではないかと思いました。
ところで、このブログでは再三お薦めしていますが、
1966年11月19日ライヴ録音 テアトロ・コムナーレ(フィレンツェ)
指揮:カルロ・マリア・ジュリーニ
マントヴァ公爵:ルチアーノ・パヴァロッティ
リゴレット:コスタス・パスカリス
ジルダ:レナータ・スコット
レーベル:ARKADIA
オペラファンの方々には、この録音をぜひお聞きいただきたいのです。「本当に呪いがかかるのではないか」と思う不思議な音色が聞けます。目に見えない力を感じるというのは、信じない人は信じないだろうと思いますが、実際にあることなのです。(でも滅多にありません)
そして今月の歌舞伎座で、仁左衛門さん演じる弁慶の「急急如律令」も、ぜひ生で聞いてみてくださいね。(もうあまり切符が残っていないかもしれませんが・・・)
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