白黒の熊谷
むかし録画したVHSのビデオを連休中に見ているのですが、八代目松本幸四郎の「熊谷陣屋」を今日拝見しました。昭和35年の上演で、白黒映像です。
まず竹本の立派さに感銘を受けます。三味線の音が現在とずいぶん違いますね。昔のほうが義太夫らしいと言いますか、文楽の音色に近い感じがします。現在の竹本の三味線は、サワリのビヨーンという響きを削った、乾いた音色ですね。江戸前の好みなのでしょうか。
先代の又五郎さんが藤の方を勤めていらっしゃいます。私が歌舞伎を見始めた頃は、お爺さんの役をされることが多く、そのイメージが強かったのですが、この藤の方が素晴らしいです。記録を見ると、又五郎さんはお岩様も演じているんですね。お岩様を演じられるというのは、すごいことですね。ちょっと新鮮だったのですが、相模のくどきを聞きながら、藤の方が「そういうことだったのか!」って身替わりの事実に気付く演技をするんです。今の上演ではやらないですよね?
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