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2007年2月18日 (日)

《どろぼうかささぎ》

●私は常々「オペラは予習が大切である」と思っていますが、予習なしで楽しめる作品もたくさんあります。《西部の娘》《トスカ》《イル・トロヴァトーレ》などは、むしろ、事前にあらすじを読んだりしないほうが良いと思います。「この話、一体どうなっちゃうの?!」とハラハラしながら見られるのは最初の1回だけですからね。(これから《西部の娘》を初めてご覧になる方は、ご注意ください!)

●私の場合、「その作品に接する最初の1回は生の舞台であってほしい」という欲求はありません(オペラの場合は)。理想の1回目は「質の高い舞台映像を、良い日本語字幕つきで、予備知識ぬきに」というのがいいかなぁ。(なかなか理想どおりにはいきませんけれど。)

●私にとって、これからの1年はロッシーニ《どろぼうかささぎ》イヤー!なのです。

・4月 南條年章オペラ研究室(ピアノ伴奏演奏会形式) @津田ホール

・8月 ロッシーニ・オペラ・フェスティバル @イタリア・ペーザロ

・来年3月 藤原歌劇団 @東京文化会館

●今回はその魁として、日本語字幕つきの唯一の映像(←おそらく)を見てみました。ケルン・オペラ、指揮はブルーノ・バルトレッティ、演出はミヒャエル・ハンペ。もう最高に素晴らしい!役柄に相応しい声質と容姿を兼ね備えた、優れた歌手が脇役までビシッと揃ったスゴさ。必見です(と言ったって、もう日本語字幕つきのものは入手できませんが…)。

●字幕は武石英夫氏。私は武石さんの字幕がとても苦手(心の底から苦手)なのですが、この映像の字幕はわりと良かったです。しかし「俺の首はちょん切ってくれ」という1行が出てきたときにはズッコケました。あ~あ。

●こういった映像の場合、「長い序曲のあいだに何を映すか」というのは、制作者の腕の振るいどころかと思います。この映像では、あらすじが字幕で紹介されていました。で、普通はストーリーの途中まで紹介したら「あとは見てのお楽しみ」となるものですが、もうね、結末までバーンと出ちゃったわけです。私はボーッと結末まで読んでしまった。だって映ってたら読みますよね、ね?推理小説の最初のページに真犯人の名前が落書きしてあるみたいな、何て馬鹿らしい、もう愚の骨頂、ええ腹の立つ。バカバカ。最初の1回ならではの「ニネッタはどうなってしまうの…?」という楽しみが大きく損なわれてしまったのでした。この映像をこれからご覧になろうという方(あんまりいらっしゃらないと思いますが…)は、お気をつけください。

●意中の女を権力で手に入れようとする、《トスカ》のスカルピア男爵みたいな役が登場してビックリ。ロッシーニのオペラにこんな役が登場するとは…。しかしまあ、こういう人って、身近な噂で聞いたりもするし、実際いるんだろうな…。(おお、いやだ。)

●主人公ニネッタのお父さんフェルナンド、何てカッコイイ役なんだろう!「娘を助けに行くぞ」という内容のアリアは、涙なしには聞けません。これぞ父性愛だと思いますね。《シチリア島の夕べの祈り》のモンフォルテとか《椿姫》のジョルジョなんて、ちっとも父性愛だと思わない、あれってただの自己愛でしょう?人間にそういう感情があるってことは分かりますが、私にとっては単なる引き立て役、別に感動するような内容ではありません。《どろぼうかささぎ》のフェルナンドは本当にいい役。このアリアを歌うためだけにバス歌手に生まれ変わりたいくらい素晴らしい(←ちょっと大げさか)。ブレント・エリスの歌唱も最高でした。

●台本が素晴らしいときのロッシーニは最高に素晴らしい。これからの《どろぼうかささぎ》イヤーが楽しみです。

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