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2008年2月18日 (月)

「関の扉」解説2

関兵衛の「生野暮〔きやぼ〕」のくだりは、「当て振り」の代表的な例みたいに言われることもありますが、ちょっと違うと思います。当て振りとは、詩章をそのまま体の形にすることですよね。例えば、「乱れし髪の」という詩章に合わせて髪をすく仕草をしたり、「春は花見に」で桜の花を眺める仕草をしたり。ところが「生野暮」は、詩章をそのまま形にしたものではありません。ひねりが加わっています。そこが面白いところです。

生野暮〔きやぼ〕薄鈍〔うすどん〕〔じょう〕なし苦〔く〕なしを見るように、悪洒落〔わるじゃれ〕言うたり、大通〔だいつう〕仕打〔しうち〕もあるまいが、どういう理屈か気が知れぬ、気が知れぬ。

〔き〕→木(立ち木の形)

〔や〕→矢(弓を引く)

〔ぼ〕→棒(棒をしごく)

〔うす〕→臼(臼を挽く)

〔どん〕→ドン(戸を叩く)

〔じょう〕→錠(鍵で錠を開ける)

なし→(手を振る)

〔く〕→喰う(何か食べる)

なしを見るように→(目隠し→開く)

わ→輪(両手の人差し指で輪を描く)

るじゃ→(両手の人差し指で角を作る)

れ→礼(お辞儀をする)

いうたり→(糠袋を使って右の頬をこする)

大→(両手両足を広げて大の字になる)

通→(ヒョコヒョコ歩いてくる)

●「生野暮」の「生」は「生醤油〔きじょうゆ〕」「生蕎麦〔きそば〕」などの「生」と同じで「混じり気なし」という意味。つまり「100%野暮」ということです。

●「薄鈍」は「すごく鈍い奴」という意味でしょう。「薄」は「薄らバカ」「薄らトンカチ」などのように、軽蔑の意味を強調する語だと思います。

●「苦なし」は「苦労知らず」「経験が浅くて物事が分からない」ということです。

●「大通」というのは「廓〔くるわ〕の事情に通じた粋な客」「物事に通じた人」という意味で、「大通仕打もあるまいが」は「大通ぶった仕打ちでもないだろうが」ということです。

■上記2か所の「」を教えてくださる方がいらっしゃったら、一生尊敬申し上げます。

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コメント

随分前の記事にこのようなことを書くのはまさに生野暮でしょうが、一応調べたことばかり書き残しておきます。

生野暮以下の振りはほとんどあっております(流派によって若干違いますが)。
おわかりにならない二つの「?」ですが、

じゃ→頭へ角を作り、邪鬼の振り≒邪です。(かなへ振りはそこまで言葉にこだわりが無く、悪洒落の下りも、丸を描いて軽く手を振るだけでワルの意を示すそうです)
いうたり→意味は湯たり、で湯の中に入って体を洗う振りとなっています。昔は米糠で身体を洗っていましたからその名残でしょう。
なお、戻駕籠では「いうたり」を「結うたり」に結びつけ、髷を結う独特のふりを見せます。私としては戻駕籠のほうが洒落っ気としては上手いと思われます。

以上2つ、簡単ではありますがご返答とさせていただきます。


ご回答ありがとうございます。
踊ったことのある方は、ちゃんと振りの意味もご存じなのでしょうね。見ているほうは、なかなか分かりませんが・・・。
尊敬申し上げます。

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