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2017年2月18日 (土)

行き暮れて

宿かさぬ灯影(ほかげ)や雪の家つづき  蕪村

久しぶりに土日がお休みとなりました。
休んじゃっていいのかな~?などと、逆に不安になったりして・・・。
仕事ができないオッサンの仕事を押し付けられて、思えば3年間みじめな生活だった・・・。

あれは昨秋のことでございます。
私は東京在住なのですが、国立文楽劇場(大阪)の11月文楽公演を見たくて、チケットを取ってあったのです。仕事も詰まっているし、日帰りで昼夜公演を見るつもりだったのですが、前の晩に思いがけず仕事が早く終わったのです。
これは~~~、今夜のうちに大阪へ行って前泊したほうが楽。
日帰りの強行スケジュールだと、公演中に眠くなったりする可能性が高い。(おお・・・)
私ももう45歳であるし、そのくらいの贅沢は許されるのではないだろうか。
そう思って私は最終より少し前の新幹線に飛び乗った。
ホテルを予約しないまま旅に出る、というのは人生で初めての体験であったかもしれない。
近ごろ大阪のホテルが取りづらいということは承知していたのですが、まあ円安も落ち着いて海外からの旅行者も減っていると聞くし、まだ紅葉の季節でもないし、行けば何とかなるのだろうと高を括っていた。
ところが!
何度も利用したことのあるホテルに行ってみたら、満室だと断られ・・・。
次のホテル、その次のホテルでもお断り。
「ここへ行けば泊れますよ~」と教えてくれるわけでもなく・・・。
私はガラケー使用者なので、スマートに検索→予約もできず・・・。(情弱か!)
どんどん駅から離れていき、ホテル、ホテル、ホテルはどこ。
もう電車も止まっている。
このまま私は野宿することになるのだろうか?
野宿?したことないんじゃない?あったっけ?なかった?
生れて初めての野宿?どこで?
この季節にしては暖かいほうだと言っても、ちょっと厳しいんじゃないだろうか・・・。
眠れるものなのかな。
大阪の街はまだ大勢の人が歩いていて、でもみんなどこへ行くのだろう。
突然、『傾城阿波の鳴門』のおつるちゃんの声が聞こえてきたのです。
そうしてまた次のホテルを探して歩いていると、突然、平忠度の辞世の心が私にもしみじみと実感されたのでした。

行き暮れて 木(こ)の下陰(したかげ)を 宿とせば
              花や今宵の 主(あるじ)ならまし  忠度

知っていたけれど、意味を全然分かっていなかった。その歌の心が突然分かったのです。
「長く生きていることで分かる」ということが、人生にはあるものですね・・・。
名歌の心を知るというのは、人生の醍醐味でございますね。

結局、あれは何軒目のホテルだったのだろう、ウォシュレットが壊れているような安ホテルに泊まることができたのですが、「宿の事前予約」という概念がなかったであろう昔の人々は、よくもまあ長途の旅に出たものであるよと思ったことでした。(漂泊の思いやまず?)

私「今夜一泊、部屋ありますか?」
フロント「ございます」
私「(おお、主よ!!)」
注:この場合、主は「しゅ」ではなく「あるじ」とお読みください。

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