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2017年6月20日 (火)

声楽のレッスン

100歳まで現役で舞台に出ていた清元志寿太夫〔きよもとしずたゆう〕さんが、93歳くらいの頃、テレビで言っていたんです。(最近YouYubeで見たのですが)
「声ってね、出すようにすりゃあ出る」
「あたしはあんまりお稽古しませんけどね」
「お稽古すると、のど悪くなる」
「みんな消えちゃいますもん、覚えようとするより、取ろうとするより、消えちまうから駄目」
「お稽古って、つまり聞くってのは、それを取らなきゃいけないわけでしょ」

ここで志寿太夫さんが「取る」と言っているのは、「師匠の芸を聞いて覚える」ということでしょう。
清元は楽譜を見て歌うわけではありません。
まず複雑な節を聞いて覚えないといけない。
「自分で声を出す」のと、「取る」のとは、別のことなのでしょう。
自分で曲が思い描けないといけないんですね。

マリア・カラスは、こんなことを言っています。
「私たち歌手は常々、器楽奏者のように演奏できることを目指して努力していかなくてはならないのですが、人間の声そのものは楽器とは違い、疲労しやすいものです。ですから、声をなるべく疲労から護るという意味で、しばしば頭の中だけで練習をしなければなりません。たとえば、これらの3連符のフレーズは、自分の部屋でひとり静かに椅子に腰掛けながら練習に取り組むには、うってつけの材料です。頭の中で何回も何回も繰り返してさらうのです。その場合、もちろん音符をひとつひとつ考えながらするのですが、声はハミング以上のものを出してはいけません。そうしていれば、いずれこれらの音が記憶に刻まれ、どのようにこのフレーズを歌っていけばよいのかが、声を無闇に使わずに、おのずからわかってくるようになるでしょう」
「偉大な伝統を受け継いでいる偉大な舞台は、大いに尊ばれなくてはなりません。そのためにも、私たちは何もかもよく知っていなければなりません。たとえば、私たち歌手というものは、自分の声の元手に手をつけるのではなく、ただその利息分だけを使っていかなくてはならない、というようなことも含まれます。しかし、もし私たちが芸術に対して正しい態度で仕えさえするならば、必要なものはすべて自動的に向こうの方からやって来てくれるものです。そうして、あなたは偉大になり、それこそ富と名声を手にすることができるようになるでしょう。ただし、実際にやるべきことは初めも、途中も、そして終わったあとでさえも、決して容易なものではないということを忘れてはいけません」

『マリア・カラス オペラの歌い方』ジョン・アードイン:著、西原匡紀:訳

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