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2018年1月 8日 (月)

ミュージカル

最近、ミュージカルの映像をいろいろ見ているんです。
他にも読書したり美術館に行ったりしたいのですが、なかなか時間が取れません。読書はとても時間がかかるけれど、映像は決まった時間で必ず終わってくれるし。
仕事で活字ばかり見ているのに、趣味でも文字を追うのは気詰まりな感じですし。

世の中には是非とも見ておくべき名作がいろいろあるけれど、多すぎて、その全てを味わうのは不可能。私は劇場に勤めているのだし、何か演劇に関係するものに重点を置いたほうがいいかな~~と思うのです。
ミュージカル映画はたいてい製作にお金をかけていて、見応えがあります。また同じ作品で、舞台版の映像と映画版との「見せ方の違い」を比べるのも楽しい。

このあいだ、『ロッキー・ホラー・ショー』を見て、あまりの馬鹿さ加減に衝撃を受けました。イギリス人がこんなに馬鹿だったなんて?大ショック!!
という話を友人にしたら、「イギリスって、もともとそういう国でしょう」と言わました。そうだった?

先日、『プロデューサーズ』というミュージカル映画を見たのです。
失敗して早期に打ち切ったにもかかわらず収益を上げているミュージカルの興行が存在する、という事実に気づいたプロデューサー(ブロードウェイ・ミュージカルの)が、予め確実に失敗することが自分で分かっていれば逆に巨額の富を手に出来ると思いつき、最悪の脚本を、最悪の演出によって舞台にかける、という内容。その「最悪の舞台」というのが本当に最悪で、よくこんなの舞台で上演できたなあとしばし呆然。(この作品は映画になる前にブロードウェイで舞台上演されていた)

私も「下品なものの面白さ」を分からぬでもないし、別にいいんですけれども、何もここまで下品にしなくても、面白いものって作れそうなものなのでは?「面白い」イコール「下品」だとでも言わんばかりの下品さ。どこか私の知らないところで「世界下品コンテスト」でも行われていて、熾烈なデッドヒートがなされているのではないか?と疑うほどに、どれもこれも下品。

ミュージカルって、たいてい「下品」か「子供向け」のどちらかだよね、という話を友人としたのです。『マイ・フェア・レディ』のように、下品でも子供向けでもない「大人のミュージカル」も存在するけれど、数が少ない。『オペラ座の怪人』、『サウンド・オブ・ミュージック』は下品ではないけれど、子供向けですよね。「エンジェル・オブ・ミュージック」「ドレミの歌」・・・明らかに子供向けね、子供向け。大人が童心に帰って楽しむだけの内容は持っている、とは思いますが・・・。

そう言えば昔、ドイツのオペレッタの映像をいくつか見た時にも、何て下品なんだろうと思ったことがありました。
ミュージカルって、オペレッタの流れを汲んでますよね・・・。

ミュージカル界だって、何も下品な作品ばかり作りたいわけではないのでしょうが、音楽劇としては後発だから、良い脚本は先にオペラに取られちゃってるんですね、きっと。例えば『セビリャの理髪師』なんか素材としてはミュージカルに向いていそうだけれど、やろうと思ったらロッシーニより良い音楽を作らなくちゃいけなくって、そんなのは絶対に無理なのです。

ミュージカル映画『プロデューサーズ』は、ミュージカル版の『ハムレット』の舞台が興行的に大失敗する場面から始まる。良い小説、良い戯曲が必ずしも良いミュージカルになるとは限らない。良い脚本は、それほどたくさんあるわけではない。だから早い者勝ち。

ヴィクトル・ユゴーの小説だったら、『リゴレット(王様はお楽しみ)』はオペラに先に取られてしまって、でも『レ・ミゼラブル』は残っていたわけです。なぜ残っていたのかというと、オペラは革命される側の人々が作っていたから、革命する側の話には手を付けなかったのでしょう。ロッシーニは復古王政のシャルル10世の戴冠を賛美するオペラを書いているし、馬車に乗っている時に怒れる民衆に取り囲まれた恐怖の体験もあったそうな。ミュージカルは逆の「革命する側」で、だから盗人とか娼婦とか安宿の汚い亭主とかが出てくることになるのですね・・・。
(ユゴーはなぜ両方の世界を書けたのだろう?)

Do we fight for the right
To a night at the opera now


オペラって、「金持ちの腐敗の象徴」だったんですよね。
ソプラノ歌手が毛皮を着て劇場入りする際に、民衆から卵を投げつけられたっていう話も聞いたことがありますね。(たしかライナ・カバイヴァンスカが自分の体験談として笑いながら話していた)

『オペラ座の怪人』を見ていると、オペラ座を物語の舞台としていながら、オペラという旧態的な芸術を蔑視しているような箇所が見受けられますね。クリスティーヌの歌唱力では、パリ・オペラ座で成功することは難しいと私は思うのだけれど・・・。
・・・・・・。

別に、ミュージカルは私も好きですけどね・・・。

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