神田松之丞・銀座7DAYS
神田松之丞 独演会
松之丞銀座7DAYS 連続講談ひとり「天保水滸伝」と。
博品館劇場
平成30年7月23日(月)19時開演
源平盛衰記より 扇の的
天保水滸伝より 相撲の啖呵
仲入り
乳房榎
7月24日(火)19時開演
天保水滸伝より 鹿島の棒祭り
お紺殺し
仲入り
淀五郎
7月25日(水)19時開演
天保水滸伝より ボロ忠売り出し
鍋島の猫騒動
仲入り
天野屋利兵衛
7月26日(木)19時開演
海賊退治
天保水滸伝より 笹川の花会
仲入り
小幡小平次
7月27日(金)19時開演
天保水滸伝より 潮来の遊び
真景累ヶ淵より 宗悦殺し
仲入り
慶安太平記より 鉄誠道人
7月28日(土)13時開演
天保水滸伝より 平手造酒の最期
牡丹灯籠より お札はがし
仲入り
中村仲蔵
7月29日(日)13時開演
慶安太平記より 宇都谷峠
番町皿屋敷
仲入り
天保水滸伝より 三浦屋孫次郎の義侠
(演目の表記は終演後のロビー張り出し「本日の演目」による)
行ってきましたよ、神田松之丞・銀座7DAYS。
本当に7日間全部行けるのかなと心配になってドキドキしてしまいました。仕事とか天候とか体調の都合で行けなくなってしまうこともあり得ますからね。
私はこういう公演を20年以上待っていたのです。
同じことを何度も書くようで恐縮ですが、私が落語会に頻繁に通っていた平成7年ごろ、講談には神田北陽(のちの山陽)さん、浪曲には国本武春さんという輝く若手がいたのです。若手は他にいないわけではなかったけれど、この2人は技巧的に何の不満もない稀有な存在でした。これからこの2人が私に講談と浪曲の名作をたくさん聞かせてくれるのだと信じておりました。ところが、そのような機会はついに訪れなかった。
いや、そういう公演をやっていたのに私が情報をつかめていなかったのかもしれない。
でも山陽さんが天保水滸伝の連続読みをやるとなったら私は行っていたはずだった。そういう気持ちは何年たっても常に持っているつもりだった。
外国に行ったとか、「にほんごであそぼ」とかには、私は興味がなかった。古典が聞きたかった。
そのような機会はもう永遠に失われたのだと思っていたのです。
ところが、ちゃんと若手が現れて、博品館で連続独演会をすると言うではありませんか。
私はまるで夢を見ているようでしたよ。
でもちょっと情報をつかむのが遅かったですね・・・。
でも7日間ちゃんとチケットが取れて本当に良かった。
私はそれまで松之丞さんを1度しか聞いたことがありませんでした。情報をつかむのが遅かったですね・・・。
こうして7日間聞いてみますと、意外と落語っぽい側面がありました。他の講談師からは感じたことがない側面でした。意図的にしているのだと思いますが、そういうところが人気の理由なのかもしれません。まあ円朝が講談っぽいのだとも言えますが・・・。
なにも落語家がやるネタを講談師がやらなくてもいいのではないかと思いましたが、それでも「中村仲蔵」は素晴らしく、大変感動しました。
「扇の的」「海賊退治」のような、いかにも講談口調の演題もちゃんと出来るし、やくざ者のドスの利いた声から色気のある女房まで声域も広く、表情も変化に富み、演技力があり、派手さがあり、熱気があり、もう本当に素晴らしかった。特に「鉄誠道人」「小幡小平次」が最高だった。
「天野屋利兵衛」は、文楽や歌舞伎よりも面白かったですね。文楽だと、「この人はなぜそこまでするのか?」という肝心なところがよく分からない。講談ですと、内匠頭との心のつながりが描かれていて、話が腑に落ちました。
初日の冒頭に、7日間全て見る人は手を挙げて~というのがありました。数十名いましたかねえ。
客層は意外と高齢な人が多かったですね。もっと若い客が多いのかと思っていましたけど・・・。
松之丞さんは客の咳が許せないのだそうで、「咳は第二の携帯」と言っていました。確かに大事な瞬間に咳がかぶると雰囲気が壊れますし、私もオペラの古い録音なんか聞いていますと「なぜこの大事な瞬間にお前は咳ができるのか!」と思ってもうとっくに死んでいるだろう昔の客に殺意を覚えたりしますけどね。そう言えば美輪明宏さんの演劇公演で開演前に「咳をしないでください」というアナウンスが流れたことがあったなあ・・・。
しかし自分の独演会に来た客に向かって「スクリーンに穴」発言はどうだろう。まあ自分の客を自分の理想の状態にうまく教育していくのも演者の務めかな?談志さんも客に直接注意してました。
博品館劇場の客席は飲食禁止だとアナウンスでも流れているのに、飲み食いする客が多かったですね。開演前とか休憩中だったら私も気にしないけれど、上演中にやる爺さん婆さんが周りにいました。今どきの爺さん婆さんの行儀の悪さは何とかならないものですかねえ?
7日間連続公演ということでご本人も気合いが入っていたようですが、別な仕事も並行してガンガンやっていたみたいですね。すごいパワーですね。
一番多くて1日で7席読むそうです。まあ短い高座もあるでしょうけれど。
喉というのは、投手の肩と同じで、あいだを空けないと傷めますよね。
声は、利子だけを使って、元手に手を付けてはいけない、と昔から言われています。
かかりつけの喉のお医者様はいるのでしょうかね?
批評がましいことを言うつもりはないのですが、老婆心ながらついでに言わせていただきますと、全体的に芸の焦点が下手〔しもて〕に片寄りがちですね。講談という芸能の性質なのかもしれませんが。
そして、ときどき言い間違えがありますよね。ご本人は気づいているのでしょうかね。1つ1つ虱潰しに指摘してくれる人が周りにいるといいですね・・・。
もう本当にこんな人が出てくるなんて夢のようです。他の作品も連続で聞きたいですねえ。チケット取れるかな?
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