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2018年11月

2018年11月30日 (金)

坂東玉三郎トークショーその3

11月14日に金沢で行われた、玉三郎さんのトークショーに行って来たわけなのです。

その中で、「セリフの覚え方」という話題になりました。
玉三郎さんは「20歳の頃は、10回読めば覚えられた」と仰っていました。幼い時から劇場にいたので、覚えるというよりも、すでにセリフが入っていて、分からないところだけ確認するという感じだったのだそうです。
それで、30歳を過ぎた頃、サド侯爵夫人などの役でセリフを覚えるという必要が出てきたそうです。自分の声をテープに吹き込んで、楽屋で聞いて覚えたということでした。
台本の自分のセリフに1、2、3、と番号を振っていき、1から順番に完全に覚えていくのではなく、100にこういうセリフがあって、120はこういうセリフ、というように、全体の構成を掴み、徐々に覚えていくのだそうです。「設計図を書くように覚えていく」と仰っていました。

私も、歌舞伎の名セリフを覚えたり、オペラアリアの歌詞を覚えたりすることがありますが、「覚えるぞ!」と決めないと覚えられないですね。ただ何度も聞いているだけでは覚えられないです。
年を取ると、だんだん暗記ということをしなくなっていきますね。忘れるばっかりで・・・。
「月も朧に白魚の~」「しがねえ恋の情けが仇~」「知らざあ言って聞かせやしょう~」くらいは言えて当然だと思いますが、どうでしょう。

2018年11月28日 (水)

マントヴァ公の心付け

《トスカ》の第3幕で、カヴァラドッシが看守に指輪を渡すじゃないですか。トスカへ手紙を届けてくれる報酬として。指輪をそういうふうに使う場合がある、というのは子供の頃に聞いたことがあった気がしますが、いざという時にこの指輪に相当するものを身に着けているというのは重要なことだなあと思いました。

初めて《リゴレット》を見た時だったと思うのですが、乳母だか家政婦だか、ジョヴァンナにマントヴァ公がお金を渡す場面があったのです。ジルダと2人きりにしてもらう報酬として。私は「世の中に、そんな金の使い方があったのか」と大変驚きました。ジョヴァンナはリゴレットに雇われていて、さっきまでジルダを守ると何度も約束していたのに、それは口先だけで、いかにも好色そうな若者に手を貸してしまうのです。そうしないとドラマが進展しないので仕方のないことなのですが、本当に恐ろしいと思ったものでした。

2018年11月27日 (火)

リゴレット

今日はボローニャ歌劇場来日公演の先行発売日でした。

ちょっと《リゴレット》が続きますね。
・今月 金沢歌劇座
・来年4月 東京・春・音楽祭(演奏会形式・抜粋上演)
・来年6月 ボローニャ歌劇場来日公演
・再来年2月 藤原歌劇団

こうして《リゴレット》の公演を並べますと、劇場名だったり、団体名だったり、音楽祭だったりと、日本のオペラの興行形態は実にさまざまですね。

春祭の「抜粋上演」というのが謎ですね~。パンフレットに合唱が記載されていないので、合唱が出る部分がカットされるのでしょうか?予算の都合?

このブログでは再三書いていると思いますが、
1966年11月19日ライヴ録音 テアトロ・コムナーレ(フィレンツェ)
指揮:カルロ・マリア・ジュリーニ
マントヴァ公爵:ルチアーノ・パヴァロッティ
リゴレット:コスタス・パスカリス
ジルダ:レナータ・スコット
レーベル:ARKADIA

この《リゴレット》の録音は本当に素晴らしいので、ぜひご一聴をおすすめいたします。もう信じられないくらいの名演です。

《リゴレット》という作品は、創作の過程で《呪い》というタイトルにすることが検討されていたそうです。モンテローネ伯爵は、マントヴァ公爵とリゴレットの2人に対して呪いをかけるのですが、マントヴァ公爵は平然としていて、リゴレットだけが呪いにかかってしまう。
それはなぜなのかと言うと、ジルダがマントヴァ公爵への呪いを防いだからですね。
呪いよりも、人間の行動のほうが強いんですね。
呪いと反対のその行動に名前が付いていないのはなぜなのでしょう?

呪われたら人間の運勢は急降下すると思うんですね。
でも、それを防ぐ手立てというものも、存在すると思うのです。
日本の「累〔かさね〕伝説」では、祐天上人〔ゆうてんしょうにん〕の祈祷によって怨霊の解脱ということが起こります。
あとは「陰徳を積む」というのも有効だと思います。「陽徳」でも構いませんが・・・。
「困っている人への寄付」「喜捨」なんていうのが、思いのほか力を持っているのではないでしょうか。つまり、逆の力を集めればいいわけですから。

2018年11月26日 (月)

坂東玉三郎トークショーその2

先日、金沢まで玉三郎さんのトークショーを聞きに行ってきたのです。
シネマ歌舞伎「鷺娘」の上映とセットになっていました。
私はこれまでシネマ歌舞伎を見たことがなかったのですが、すごく音響が良くて、柝や本釣の音なんてまるで本物のようでした。さすが映画会社の松竹だけのことはありますですね。

鷺娘に関する玉三郎さんのトークもありました。

・小さい時から踊っているので、いつのまにかフェードインしていて、鷺娘が何者なのか改めて考えたことがなかった。
・雪の中で踊っているけれど、最後の場面は炎の中で苦しんでいる様子を表している。
・最後に踊った時に重さを量ったら、扮装が17キロあって、それを知ったら急に重く感じられて、量らなければ良かったと思った。
・「血綿〔ちわた〕を縫い込んである糸」「鬘の栓〔せん〕」は、お客様に気付かれないように、そっとしまわなければならない。
・六代目の菊五郎さんが、踊りに「印象派」の感覚を取り入れ、「保名」や「鷺娘」の終わり方が変わった。
・小道具の傘はもう作れる職人さんがいなくて、ずっと同じ傘を大切に使っていた。
というようなお話でした。

2018年11月25日 (日)

新装南座

新装なった南座へ行って来ました。ずいぶん長く休館していたにもかかわらず、どこが変わったのかよく分からない感じでした。絨毯も新しくなっていなかったですし、3階客席の出入口も頭がぶつかりそうなまま。でも「耐震補強をしても見た目は変わらない」ということを目標にしていたらしいので、見た目が変わらないまま耐震が済まされているのはすごい技術だと感心しました。
私は乗りませんでしたが、エレベーターが新設されていましたね。そして、3階の客席がとても座りやすくなっていたような気がしますが、今回新しくなったのでしょうか。以前の3階客席は、すごく座りづらかったですよね・・・。

「チケット売場」ではなく「切符売場」と表示されていました。さすが京都だなあと思いました。世の中がどんどん横文字化されていくのは、時代の流れで仕方のないことですが、歌舞伎を楽しむのには合わないと思うのです。「プログラム」とか「タイムテーブル」とか、歌舞伎に合わないと思う。
新国立劇場のホームページは、日本語よりも英語表記のほうが大きかったりして、そのうち英語だけになるんじゃないかと思うんです。原語に回帰していくわけでしょう。
私も異国に対する憧れの感情は持っていますが、「ローマ字だからカッコいい」とは全然思わないんですよね~。ロビーのことをホワイエと言ってみたり、やたら目新しい言葉を使いたがるのは、バカバカしいことだと思う。

仁左衛門さんの「封印切」がどうしても見たくて、東京から京都まで足を運びました。ずっと見たかったのに、東京で上演されなかったんですよね。藤十郎さんの「封印切」は何度も何度も見ましたけれど。どうしてなのでしょうね。
仁左衛門さんの忠兵衛、本当に素晴らしかったです。藤十郎さんと仁左衛門さん、お二人の忠兵衛を見られたこと、本当に幸せです。本物の上方和事の味わいが出せるのは、このお二人で最後だと思うのです。

親・子・孫で「勧進帳」を勤めるのは、史上初のことだそうです。こんなお目出度いものが拝見できて、私も寿命が延びる思いがいたしました。
新幸四郎さんの弁慶は、東京の襲名披露よりも迫力が増しているように見受けられました。「滝流し」も良かったですね。とにかく「特別感」が溢れていました。

「連獅子」の三味線の、2番目に座っていた方がすさまじい早弾きで、度肝を抜かれました。超絶技巧でした。(あのすごい人は誰?)

秀太郎さんがお元気で大活躍されていました。おえんさんも、いつもよりセリフが長かったような気がしました。秀太郎さんのおえんさんは最高ですね!

2018年11月24日 (土)

東京文化会館の豆知識その2

先日、東京文化会館の舞台裏を見学させていただいたのです。

小ホールの稼働率はほぼ100%で、休館日以外は公演がびっしり入っているのだそうですが、1961年に開館した当初は、小ホールではなく会議場だったのだそうです。近くを通る常磐線の貨物列車の音が大きかったらしいです。大ホールは、なるべく線路から遠い位置に置きたいということで、あの位置になったということでした。

設計者の前川國男のこだわりについても、いくつか話を聞かせていただきました。師であるル・コルビュジエに対する尊敬の念が、東京文化会館の建物の中に込められているのだそうです。
大ホールのオケピットの真ん中が三角形に出っ張っていますけれども、あの三角形の中心が示す方向の先に、ル・コルビュジエが設計した国立西洋美術館の19世紀作品展示室のセンターがちょうど来るように設計されているのだそうな。設計者にしか分からないこだわりに何の意味があるのかよく分かりませんが。
大ホールのロビーの、国立西洋美術館側のガラスの壁に入っている模様も、西美の何かを模しているのだとか。
大ホールの上のほうに上っていく階段の壁がピンク色なのですけれども、あの色も前川國男がこだわって決めたのだそうです。あの建物の色の好みは、全体的に私の感覚に合わなくて、客席の赤、青、緑、黄色も私は好きじゃないです。

小ホールに行く途中が長いスロープになっていますけれども、あのスロープにも設計者の強いこだわりがあったのだそうです。

「設計者の強いこだわり」が、マイナスに働いている印象がありました。

大ホールの階段の手すりの形状にも、設計者の強いこだわりがあったそうです。確かに凝った形をしています。しかし、その手すりは使いづらかったらしく、現在は新しい手すりが付けられています。(手すりの上に手すりが付いているという、変な手すり)

手すりにはそんなにこだわったのに、階段の照明にはなぜこだわらなかったのでしょうか?昔から不思議なのですが、あそこの階段の照明は、団地の一般家庭の蛍光灯みたいな感じですね。

関係ありませんが、国立能楽堂の回廊の照明も、工場の照明みたいだなあといつも思います。

お話を伺っていて驚いたのですが、その昔、大ホールのロビーは、公演と関係なく誰でも入れたのだそうです。現在の正面入口から、野球場側の出入口まで、通り抜けのフリースペースだったそうですよ。
現在は、セキュリティー上の観点から、野球場側の出入口は常閉となっており、チケットを持っている人しか大ホールのロビーに入れませんが・・・。
ロビーがフリースペースだと、モギリはどこに設置していたのだろう?と思いますが、昔はモギリが1箇所ではなく複数箇所だったようですね。係員もすごい人数だったのでしょうかね。

新国立劇場の中劇場も、出入口がなくて、中と外が地続きになっている不思議な構造です。どういうつもりなんだか、よく分かりませんね。
日本の建築って、誰でもどこへでも入れてしまう構造だったんですね。
急速に感覚が変化したんですね。

日本人は、高齢化のせいもありますが、急速に足腰が弱くなりました。階段やスロープに対する考え方が急速に変化しましたね。
昔は、「階段を上っていく間に非日常の世界へ気持ちが切り替わっていくように設計しました」みたいなことをよく設計者が言っていたように記憶しています。
上ったり下りたり上ったり下りたり、一体どうなっているのでしょう?
パリオペラ座ガルニエ宮みたいな美しい大階段だったら、気持ちも華やかに切り替わるでしょうけれど、日本の公共建築の階段はまるで美しくないので、ただ面倒くさいだけですね・・・。

2018年11月22日 (木)

2番目の映画

玉三郎さんのトークショーで好きな映画の話題になった時に、玉三郎さんが2番目に挙げた映画のタイトルを忘れてしまった・・・という話を先日このブログに書いたところ、それを読んだ心の友Yさんから『ファニーとアレクサンデル』ではないかとメールが届いて、そうそう、それに違いない!ということで幻の2番目の映画が判明しました。
早速アマゾンでDVDを購入したところ、後になって3時間版と5時間版の2種類が存在することが判明。安かった3時間版を購入していたのですが、見るなら当然5時間版だろうということで、買い直してしまいますた。(大人の無駄遣い)
1982年のスウェーデン映画だそうです。イングマール・ベルイマン監督?知らないなあ・・・。

2018年11月20日 (火)

東京文化会館の豆知識

今日、東京文化会館の舞台裏を見学させていただいたんです。
私が東京文化会館の裏側を見せていただくのはこれが初めてではなく、3度目くらいじゃないかと思いますが、今回初めて知ったことがありました。

バックステージを見学したことのある方はご存じと思いますが、東京文化会館の舞台袖や楽屋の柱・壁には、出演者のサインが所狭しと書き込まれています。この風習が始まったのは、1967年からなのだそうです。開場が1961年なので、だいぶ経ってからなんですね。一番最初のサインは、フィラデルフィア管弦楽団のサインで、マジックではなくチョークで書かれたものなのだそうな。サインはコンクリート部分に書いて、他の部分には書かない暗黙の決まりになっているとのことでした。

そして、現在は屋上庭園に出ることはできませんが、昔は誰でも出られたのだそうで、屋上にはベンチが置かれていました。この屋上庭園を通って、音楽資料室から大ホールへ忍び込んで公演を見る人が昔はいたそうで、そういうのを知っていて許している時代があったんですね。(著名な指揮者もやっていたとか・・・)

私が見たところ、東京文化会館は、表と裏を完全に分けるための改修を行っていると思います。昔の日本の建物って、表と裏が分かれていないんですよね。客がどこまでも入っていけてしまう。セキュリティーという概念がなかったのではないかと思うんです。
国立劇場も、最近はカードキーがないと通れないようにしてありますけれども、昔は誰でも大劇場に行けたと思うんですね。私は就職してから、あまりの緩さにビックリしました。
国立能楽堂は、今でも見所までするっと入れちゃうと思います。私は設計の欠陥だと思っています。図書室や講義室の配置も変ですね。

上野駅の公園口改札を出ると、真正面に東京文化会館の楽屋口。
設計が変だと思うんですよね。
見学させてもらっておいてこんなことを書くのはナニですけど・・・。

東京文化会館は、国立劇場が出来る5年前に開場したのですが、国立劇場のほうが古い建物に見えますね。東京文化会館は何度も改修していますが、国立劇場は1度も大規模な改修をしていませんからね・・・。

2018年11月19日 (月)

坂東玉三郎トークショー

11月14日(水)、金沢歌劇座まで玉三郎さんのトークショーを聞きに行ってきたのです。
東京から金沢まで日帰りでトークショーに行くなんて、しがない国立劇場の職員なのに、そんな贅沢なお金の使い方をしていいものなのかという迷いがありました。しかし、「行きたい」と思う欲望も、いつまで続くのだか分かりませんし、状況が許すうちは見たいものを見に行けばいいのではないかと思い、出かけて行きました。

トークショーの中で、「好きな映画」という話題になりました。
玉三郎さんが真っ先に挙げた映画は、ルキーノ・ヴィスコンティ監督の「若者のすべて」でした。ちょっと意外な感じがしました。
私はヴィスコンティ監督の映画を9本見たことがあります。たまに名画座で「ヴィスコンティ特集」をやりますよね。かなり昔、上映されたのを一気にまとめて見たのです。
ところがヴィスコンティ作品は、「よく上映される作品」と、「上映されない作品」とに分かれると思うのです。なかなか映画館で上映されない「夏の嵐」は中古DVDを入手して見ました。見れない作品はなかなか見られないですね。できれば映画館で見たいのですが。
9本見た中では、「山猫」「ベニスに死す」「ルートヴィッヒ」が良かったですねえ。逆に「若者のすべて」「イノセント」はあまり覚えていない。もう1回見てみようかな。

それで、玉三郎さんが2番目に挙げた映画は、私の知らない作品だったのです。このタイトルは忘れてはいけない、覚えなきゃ、覚えなきゃと思って、トークショーの途中までは確かに覚えていたのですが、終わる時にはもう忘れていた。もう自分にガッカリしました。
手がかりがあれば、ネットで検索しているうちに判明するのではないかと期待したのですが、「ナントカとアレキザンドラ」とかいうタイトルだったんじゃないかと思うんですけど、全然分からない。
職場でその話をしたところ、「誰かネットでトークショーのレポートを書いてるんじゃないですか」と言われたのですが、そういうのもヒットしない。
ネット上でそういうことを詳細に書く人が減ったような気がするのですが、気のせいでしょうか?
・飽きた?
・この分野における愛好家の高齢化?
そうして2つ目の映画は幻と消えにけり。

あとは、たしか「欲望という名の電車」「アラビアのロレンス」「プラトーン」なんかが挙がっていましたかねえ。ベトナム戦争物でもう1本挙がってましたかねえ。玉三郎さんが口にする全作品を暗記しようと思ったのですが、覚えられなかったのです。年のせいなのか、昔からなのか?

「アラビアのロレンス」と言えば、カイロ大学を主席で卒業したと嘘をついていた小池都知事の好きな映画なのだそうです。ラクダが砂漠を歩いていくのを上から撮っていた場面が印象的だったとラジオで言っていました(あれ、どうやって撮影したのでしょうかね?)。そのラクダが画面の左から右へ歩いていくのか、右から左へ歩いていくのか忘れてしまったと小池さんは言っていました。好きな映画のことでも忘れてしまうものなんだなあとその時に私は思ったのです。
好きなものでもいつか忘れてしまう。

でも、好きな映画を1本だけ挙げるのって、難しいですよね。
映画よりも、歌舞伎や文楽のほうが何倍も感動しますね、私は。

2018年11月18日 (日)

と言うて鰯の子ではない

浪曲はいいですねえ。最近、ときどき聞きにいくんですけどもね。

私ゃ九十九里荒浜育ち、と言うて鰯の子ではない

「天保水滸伝」に出てくる、この「鰯の子ではない」というフレーズに興奮してしまいました。きっと私はちょっと変わった人間なんですね。

名月や、浅葱に銀の一ツ紋

いやあ、痺れますねえ。何たって、素敵な文句に節が付いているんですからねえ。

「鹿島の棒祭り」を玉川奈々福さんと太福さんとで聞いたことがあるのですが、同じ師匠に学んでいて、同じネタなのに、全然違う風に聞こえて驚きました。

このあいだの浪曲公演で、十三回忌だとかで、玉川福太郎さんの昔の録音が少し流されたのですが、ちょっと聞いただけなのに、もうすごいんです。声の細かい変化、微妙な節回し。何でも昔の人は偉大でしたねえ。

2018年11月11日 (日)

オネーギン

先週、シュツットガルト・バレエ団の来日公演で、ジョン・クランコ振付の《オネーギン》が上演されたわけなのです。
《オネーギン》は人気作品で、最後の場面だけガラ公演で上演されることも多いですね。しかし、かつて全曲上演で見た時に、「本格的に舞台装置を飾って全て上演するとこんなに迫力があるものなのか」と私は大変感動したのです。
今回は3回の上演があり、それぞれ別の配役でしたので、私は3回全て見に行くことに決めました。(大人買い)

私はシーズン会員なので、3回のうち1回はかなり良い席で見られることが事前に分かっていました。その1回をどの出演者に使うか、とても迷ったのです。マニュエル・ルグリのオネーギンが強烈な印象として私の心に残っており、やはりオネーギン役に重点を置いて決めるべきかなと思いました。そうすると、年齢的にもフリーデマン・フォーゲルがベストなのではないかと思い、初日を申し込みました。

それがまあ、すごい良い席で、さすがシーズン会員の席だなあと思いました。むかし、ああ、あんな席(1階5~7列)で見られたらどんなに素晴らしいだろうと思っていた、その憧れの席で見ることができました。フォーゲルの表情もばっちり見えて、二枚目であるがゆえに若い女の心を傷つけてしまう、ちょっと嫌な、ちょっと気障な男の役が、こんなにもはまるなんて、この役はもうフォーゲルのものなのでは?と思ったくらいです。

私は月に十数回、生の舞台を見に行きますが、かなり高い確率(ほぼ100%)で、隣の席の客が気持ち悪いんですね。何か悪いものにでも憑りつかれているのではないかと自分で思うほど高確率です。それが不思議なんですけれども、右か左かどちらか片方、大抵は左側の席の人が気持ち悪いんです。両側とも気持ち悪いとか、両側とも気持ち悪くないということは、ほぼないのです。向こうさんも私のことを気持ち悪いと思っているのかもしれませんし、何とも言えませんが、あまりにも毎回のことなので、「世の中の半分は自分にとって気持ちの悪い人」という感覚を私は持っています。(今日見た公演だって、左隣の爺さんが何かノートにメモを取りながら見ていて気持ち悪かった)
ところが!今回の《オネーギン》は、私の両隣の人が3回とも普通の人だったのです。ああ素晴らしい。快適な環境で大好きな《オネーギン》が見られて良かった。

でも、3回見たうちで一番感動したのは初日ではなく、2日目の公演でした。タチヤーナ役のディアナ・ヴィシニョーワの圧倒的な表現力に深い深い感銘を受けました。「まだ踊ってたの?」くらいに思っていたので、本当に衝撃的でした。
3人のオネーギンは、それぞれに良かったですけれど、タチヤーナは圧倒的にヴィシニョーワに感動したので、2日目を申し込んでおけば良かったなあと少し後悔しました。

私は、歌舞伎公演の場合は、自分がどの程度感動するか事前に予測できるんですよね。それで今回は絶対に1等席!とか、今回は3階Aで、とか、3階Bでいいや、とか、2回見るぞ!などと判断するのです。
その判断が狂って、「もっと良い席で見れば良かった」「もっと何度も見れば良かった」と思ったのは、最近では、
・七之助さんの「京人形」
・今の幸四郎さんの「紅葉狩」
・菊之助さんの「船弁慶」
・猿之助さんの安達元右衛門
(最近というほど最近でもない?)

例えば玉三郎さんがこれから玉手御前を演じたら、どんなふうになるのか、私には想像がつかない。でもきっと、それはもう実現しないの。

あの素晴らしかったルグリのオネーギン、あの時のタチヤーナは誰が踊ったのだろう?思い出せない。
そうして過去の上演を調べてみたら、私はルグリのオネーギンを全曲では見ていなかったことが判明!!
すっかり見た気になっていた。実際は最後の幕を見ただけだった。
「見た公演を忘れてしまう」というのは分かるけれど、「見ていない公演を見た気になっていた」というのは、すごい状態であるよと自分で驚きました。
「見ていない公演を見た気になる」・・・それは幸せな間違いであり、その感動の記憶はまるで天国に近い状態。
そういうふうにして、人はだんだん天国に近づいていくのかしら?

シュツットガルト・バレエ

シュツットガルト・バレエの来日公演「白鳥の湖」を見てきました。

どこまで白鳥なの
どこから白鳥なの
誰には白鳥に見えて
誰には女性に見えるの
黒鳥は何しに来たの
結局顔で好きになるの
むかし聞いたことがある
湖に浮かぶ王子
なぜと理由を訊かないで
それが白鳥の湖

若い主役2人がたくさん踊ってくれて、いい舞台でした。美術も豪華で綺麗でした。
(紗幕にモアレが入っていた??)

終演時に抽選でグッズが当たるという企画があって、当選の客席番号が張り出されていたのですが、本日の客の中で1人だけ当たるという「フリーデマン・フォーゲルのサイン入りグッズ」に私が当選してしまいますた。まさかの当選・・・。
今日はフォーゲルの出演日ではなかったのですが、1番の人気者だから。
47歳のおじさんである私がもらっていいのだろうか、とは思いましたが、くれるものはもらってしまいました。もっと若い「フォーゲル命」みたいな女性に当たらなくて良かったのかな・・・。
ナイロン製の黒い袋。金色のサイン。係の人は、すごい貴重な品だと言っていました。今度バレエを見に行く時に提げていたら、注目を集めるだろうか?

2018年11月 9日 (金)

銃と刀

アメリカでまた発砲事件があったそうですね。
普通の人が銃を持って街を歩いているなんて、本当に野蛮な国なんですね。

一方、「武士の魂」なんて言っていた刀をあっさり全廃した日本人の変わり身の早さにも驚きます。それで生活していた人もいただろうに、抵抗はなかったのでしょうか?

日本はどんどん変わっていきますね。
ちょっと追いついていけないくらいです。

2018年11月 8日 (木)

叫びとフェルメール

このあいだの土曜日に東京都美術館で「ムンク展」、日曜日に上野の森美術館で「フェルメール展」を見てきました。

ムンクの「叫び」は、同じ構図で5枚の絵が存在するそうですが、私は数年前にニューヨークに行った時にMoMAでパステル画の「叫び」を見たことがあります。

高校生の時に、部活は美術部に入っていたのですが、部室の扉にムンクの「叫び」のポスターが貼られていて、初めて見た私は強い衝撃を受けました。「美しい」とか「上手い」とかいう従来の自分の基準と異なる絵画。こんな絵でいいのか~と呆然とする感じでした。
何歳の時に見たのかによって、感じ方もずいぶん違うのではないかと思います。あまり小さいうちに見てしまうのは、もったいない気がするのです。

フェルメールは、個人的にはそれほど好きな画家ではないのですが、技術的には緻密ですごいと思いますし、一度に8点も見られる貴重な機会なので、混んでいるのは嫌だと思いつつも行ってきました。
時間指定なのに入場するのに30分くらいかかりました。同じ時間指定制のローマのボルゲーゼ美術館は、待たずに入れたのに・・・。
しかし、日曜の夜に行ったので、7時くらいから急速に人が減り出し、最後の30分間はフェルメールの部屋に20人くらいしかおらず、じっくり見ることができました。(「牛乳を注ぐ女」を私だけで見ている時間もありました)

東京にいながらフェルメール8点とムンクの「叫び」が同時期に見られるなんて、すごいことですね~。

私の好みとしては、ティントレット、ヴェロネーゼ、ブロンズィーノや、ブーシェ、フラゴナールなどの展覧会も開催されると嬉しいんですけどね。

2018年11月 6日 (火)

妄想ベートーヴェン

【全く使われていない階段があるのは駄目建築のしるし】

芸術の秋でげすね~。
予定がギッシリ詰まっています。今月は金沢歌劇場や京都の南座にも行く予定!

三谷幸喜さん作の日本語ミュージカル「日本の歴史」を見てみたいと思って、先日のチケット取りに参戦したのです。10時きっかりにポチッたところ、つながった!と思ったら「取れませんでした」とかいう表示が出て撃沈・・・。10時きっかりだったのに、なぜ~。元SMAPの香取慎吾さんが出演ということが人気の要因みたいですね。ちょっと、侮っていました。

元スマと言えば、稲垣吾郎さんが現在、舞台でベートーヴェンを演じているわけですが、こちらもチケット取りは激戦だったそうです。ジャニーズ系のファンの方々は、毎回チケット取りに苦心されていて大変なんですね。私なんかグルベローヴァのさよならリサイタルを5列目中央とか2列目中央で見られて、マイナージャンルの愛好家で良かった!

ところで、最近もらったチラシの束を見ていたら、有名なベートーヴェンのデスマスクの写真を使ったチラシがあったのです。その顔を見ていたら、だんだん何だか香取慎吾さんの顔に見えてきて、いやもうベートーヴェンが香取慎吾にしか見えない!

昔は日本人が西洋人を演じる際に、金髪のかつらをかぶったり、付け鼻を付けたりすることもありましたが、今はポリティカル・コレクトネス(通称ポリコレ)だとかで、そういうの良くないとされているのだそうですね。
ヴェルディ作曲の《オテッロ》では、まだ顔を黒く塗って出演することも多いと思いますが・・・。それは内容によりますよね。一律で禁止する必要はないと思いますけど。
たとえば日本人テノールがオテッロを歌うことになったとして、黒く塗らなかったら何の話だか全然分からないんじゃないかなあ。
オテッロ役を黒人が歌ったという話を聞いたことがないですしね。

村上敏明さんは、いつオテッロを歌うのだろう?

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