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2019年9月12日 (木)

九月歌舞伎座の夜の部

歌舞伎座の夜の部を見たのです。『勧進帳』の配役が日替わりだったので、両方の配役を見てきました。

このブログの「ふくきち」という名前は、私の心酔する中村福助の「ふく」と中村吉右衛門の「きち」から勝手に取ってきたものです。お二人が「寺子屋」で顔を合わせるとのことで、発表されてからもう気もそぞろでした。
はたして「寺子屋」は実に名演でした。2回見て2回ともズルズルと泣いてしまいました。周りも多くの方が泣いているようでした。今回は菊之助さんの千代も良かったですね。これだけの「寺子屋」は今後なかなか見られなくなるでしょうから、多くの人に見ておいていただきたいものです。

そして『勧進帳』。仁左衛門さんの弁慶は約10年ぶりだそうです。もうそんなに経つのですね。
仁左衛門さんの弁慶は、見慣れた他の方々とずいぶん違っていたので、新鮮でした。どういうところが違っていたのかと言いますと、まず一つは「お能の味わいが濃い」ということ。特に足の運びにお能らしさが感じられました。他の方はああいうふうにはなさらないですよね。わざとお能から変えているのかと思っていました。片足ずつ上げて拍子を踏む時の頭の位置の安定感などにも、お能らしさを感じました。そして二つには「仏教色が濃い」ということ。弁慶が「急急如律令」と口にした時に、本当に何か特別なことが起こるのではないかと私は感じたのです。そういうことは、やはり仁左衛門さんが京都のお生まれで、読経や声明などが身近なものだったから出来ることなのではないかと思いました。

ところで、このブログでは再三お薦めしていますが、
1966年11月19日ライヴ録音 テアトロ・コムナーレ(フィレンツェ)
指揮:カルロ・マリア・ジュリーニ
マントヴァ公爵:ルチアーノ・パヴァロッティ
リゴレット:コスタス・パスカリス
ジルダ:レナータ・スコット
レーベル:ARKADIA

オペラファンの方々には、この録音をぜひお聞きいただきたいのです。「本当に呪いがかかるのではないか」と思う不思議な音色が聞けます。目に見えない力を感じるというのは、信じない人は信じないだろうと思いますが、実際にあることなのです。(でも滅多にありません)

そして今月の歌舞伎座で、仁左衛門さん演じる弁慶の「急急如律令」も、ぜひ生で聞いてみてくださいね。(もうあまり切符が残っていないかもしれませんが・・・)

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コメント

≪英国ロイヤルオペラ≫
① 『ファウスト』速報・・・【グリゴーロ好調!エンジン全開!!】
 東京文化会館での初日を観てきました(2019.9.12.18:30~22:00)。ファウスト役グリゴーロは、パヴァロッティの後継者という人もいる前評判通り、好調の歌を披露し、観衆のやんやの喝采を浴びました。最初の見せ処、第3幕の独唱Cavatine(カヴァティーナ)「Demeure chaste et pure(この清らかな住まい)」では、伸びやかなグリゴーロらしいリリックテノールの歌声が会場一杯に広がり、一瞬の静寂の後に大きな拍手と歓声が会場に響き渡った。 マルガリート役のソレンセン(Sp)は有名な第3幕のアリア「Il était un roi de Thulé (トゥーレの王様がいた)<トゥーレの王様の歌>」の他「宝石の歌」「若しや私が小鳥なら」等の有名な曲たちを、無難に歌い終わりましたが、若干伸びやかさが足りないかな?と思った。第5幕ラストシーンでマルグリートに、「Viens viens,Margueite (逃げよう)」と必死に語り掛けるファウストとの二重唱では、絶望の感情が切々と滲みるソレンセンの歌い振りは尻上がりに調子が出てグリゴーロに負けない強さがありました。まだ若いですし、主役の場数を踏めば踏む程うまくなるに違いない。一方、メフィストフィレスは全体を通しての舞台登場率が高く、その出来不出来はオペラの成否に大きく影響します。今回のメフィスト役、ダルカンジェロ(Bs)は第2幕で、「Le veau d'or est toujours debout!(金の子牛はいつも立っている)<金の子牛のロンド>」を不気味さを秘めた力強さで歌いました。堅実なBsと見ました。グノーのこのオペラではその他の登場人物にも、素晴らしいアリアでの活躍場面が割り振られています。 マルガリートの兄のヴァランタンは第2幕でアリア「Avant de quitter ces lieux(国を離れる前に」を歌いますが、ヴァランタン役のデグー(Br)は妹一人残して出征する気持ちに憂いを込めながら、堂々としかも端正な声で歌いあげました。出来が良かったので拍手をしようかなと思った瞬間、オケの音がなり始まり出来ませんでした(同じ様なケースが、先週の『ランスへの旅』でもあった)。第3幕冒頭でジーベルの「Faites lui mes avex…Fleurs écloses près d'elle(彼女に伝えて…を、彼女の近くの花達<花の歌>)」を、ボーリアン(Ms)が 歌いましたが、如何にもフランス風という感じが少し弱かったかな?意識してシャンソン風にやや速いテンポで歌ってみては如何が。
その他合唱もオーケストラもまとまりが良く活躍していました。特に帰還した兵士達のコーラスは、管弦楽も良く知られている曲がバックなので、相当迫力を感じました。
尚、特筆すべきは、各幕の場面の演出に、バレエや舞踊を多用していることです。さすがバレエ団を抱える来日公演、綺麗なバレエを見る楽しみが、歌を聴く楽しみを倍加したような気がしました。
 概要は以上ですが、詳細は後日にします。


私も初日の《ファウスト》を見ました!
グリゴーロは初めて生で聞きましたが、すごかったですね!
「清らかな住まい」の終わりのところでヴァイオリンの音がよろけたのがちょっと残念でしたけれども・・・。

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