オペラの映像
10連休の真っ只中、いかがお過ごしですか?
VHSのビデオテープを「見て→捨てる」という作業をしたいと常々思っているのですが、なかなか実行できません。この連休の機会に、いくつかビデオを見ました。
まず《スペードの女王》を見ました。2005年6月、パリ・オペラ座の公演。
《スペードの女王》は10年以上前、ひょっとして20年くらい前?映像で1度見たことがあり、それ以来でした。
ストーリーはすっかり忘れていたのですが、もう本当に意味不明でしたね。今回見た映像では、場面設定が「病院の中」で、主人公が冒頭から精神を病んでいるんです。またヘンテコな読み替え演出かと思ったら、べつに歌詞と違うことをしているというわけではなく、セリフに合ったことをしているだけに見える。つまり元の話が変なんです。全員がずっと「狂乱の場」を歌っているみたいな雰囲気。
主役のガルージンは強靭な喉を聞かせていて、すごいんですけれど、長い髪の毛が汗に濡れて乱れていて、狂った演技がホラーチック。怖い。
チャイコフスキー作曲のロシア物なので、当然ロシア語で歌われるのですが、婆さんが若い頃を思い出して昔フランス社交界で歌った歌をフランス語で歌う場面があった。パリ・オペラ座の客には、そういう場面が楽しいのかもしれない。
ヨーロッパの貴族は国を越えて交流があり、母国語以外に必須言語があったそうですね。どの言語が必須なのか、地域によって当然違ってくるでしょうけれど。ロシア語の歌とフランス語の歌、気を付けていないと切り替わったことを知らぬまま過ぎてしまいそう。
そして《ラ・ボエーム》の映像を2本見たんです。片方はBSの録画、もう片方はCSの録画でしたが、字幕はほとんど同じでした。
第1幕のミミの登場シーンで、ロドルフォが「ウナ ドンナ Una donna!」と言います。この部分の字幕は「女だ!」では感じが悪いし、「女性だ!」では不自然ですし、「女の人だ!」と訳されることが多いのですが、「女の子だ!」じゃ駄目なのでしょうか?
第4幕で、ミミが死んでいることに気付いたショナールが「エ スピラータ è spirata...」と言います。「死んでるぜ」では感じが悪いし、「息を引き取ってるぜ」と訳されることが多いのですが、「息してないぜ」でどうでしょう?(他にも何か洒落た字幕を見たことがある気もしますが・・・)
「ブドウ酒」とか「腕輪」などの言葉、今どきの字幕でも使っているのでしょうかねえ。(私は嫌いじゃないけれど)
シコフとコトルバシュが主演したコヴェントガーデンの《ラ・ボエーム》を見たのですが、さすがイギリスは演劇の国だなあと思いました。第4幕でムゼッタが部屋に飛び込んで来るところ、ムゼッタとマルチェッロが一瞬だけ目を合わす場面があって、2人の「会っていなかった時間」みたいなものが凝縮されているように感じたのです。
このロイヤルオペラの映像は全体的に良かったですね。
イギリスって、何でイギリスって言うのかなと思ったのです。イギリスのことをイギリスと呼ぶのは日本くらいじゃないかと思って。
ウィキペディアによれば、ポルトガル語の「イングレス」が語源なんだそうな。なぜポルトガル経由なのかと不思議に思いますが、ポルトガルはキリスト教の布教に熱心だったから、アジア地域にいち早く西欧の事物を運んだのかもしれない。
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