フィレンツェの礼拝堂
わたくし2012年9月にイタリア旅行に行ったのです。ついこのあいだのような気もするし、遠い昔のような気もします。
ヴェネツィア、ローマも好きですが、イタリアで一番好きな町はフィレンツェです。狭いエリアに観光名所が密集していて、興奮度MAX。約3日間の滞在でしたが、歩きたおしました。見たいところがたくさんあって、とても時間が足りないので、予め優先順位を決めておきました。
優先順位の第1位が、メディチ・リッカルディ宮の礼拝堂の壁画。ベノッツォ・ゴッツォリ作「ベツレヘムに行く東方三博士」でした。
行ってみたら、人が少なくてビックリ。
ぬおおお~~、いま礼拝堂には俺様1人だけだよ~~。
こんな美しいものを独り占めだよ~~。
なぜ?どうして?
うはははは。だっはっはっは。
ニヤニヤが止まらない。
私はもう食い入るように美しい壁画を眺め回した。
ずいぶん時間が経過してから、突然ガタッという音がして、振り向いたらなんと礼拝堂の中に隠し部屋があり、イタリア人のお兄さんが座っていたのであった。礼拝堂はわりと狭いのだけれど、その中にやっと人が1人入れるくらいの隠し小部屋が・・・(もとは倉庫か何かだろうか?)。
1人きりだと思っていたら、1人きりではなかったのだ!
恐ろしい・・・。
誰もいないと思って、「清らかな女神よ」を口ずさんだり、「娘道成寺」を踊ったりしなくて良かったと胸を撫で下ろしたことであった。
メディチ・リッカルディ宮は写真撮影が禁じられていたため、写真は撮っていない。
↓このリンク先の写真では、美しさの10分の1も伝わらないであろう。
ベツレヘムに行く東方三博士
◆ ◆ ◆
ヴェッキオ宮殿は有名だけれども、私の優先順位は低かった。所詮は政庁舎と思って、みくびっていたのだった。
しかし、ここは他の観光施設よりも遅い時間まで開館していたため、結局見ることにした。他がもう見られないのだから仕方がない。
期待していなかったのだけれど、予想外に素晴らしい建物だった。取り分け、内部にあるエレオノーラ礼拝堂に感動した。アーニョロ・ブロンズィーノ作の壁画が美しい。う・う・う・美しい~~。
こちらは撮影OKだった。
個人用の礼拝堂を持っているなんて、いいなあ。日本で言えば持仏堂のようなものか・・・。
このヴェッキオ宮殿は、1階にちょっとグロテスクな彫刻がいっぱい置かれていた。
ぐええ。
フィレンツェは、異国に攻め入られることが多かったから、それでこのような戦いの彫刻が多いのだろうか。
上のほうに登って行くと、礼拝堂(祈り)があり、凱旋の壁画(勝利)があり、鐘楼があり、戦いを終えて天へ昇っていくような気持になった。演出家のフランコ・ゼッフィレッリはフィレンツェ生まれだから、この凱旋の壁画を見て、そして新国の《アイーダ》が生まれたのだろう。
ヴェッキオ宮殿の鐘楼から見えるフィレンツェが、一番美しいフィレンツェではないだろうか。つまり、フィレンツェのシンボルたるサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(花の聖母寺)のクーポラからは、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂は見えないわけだから。(当たり前)
ヴェッキオ宮殿の鐘楼から見えるアルノ川の夕日は、切なく美しかった。
その時に撮影したはずの写真はなくなってしまった。よって私の心の中だけの夕日なので、皆さまにご覧いただくことが叶わない。
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