これは、国立劇場の写真なんです。
むかし、喫煙場所の灰皿だった。
ところが何年前でしたか、世の中の分煙化の流れに乗って、
このスペースは禁煙になった。
で、灰皿の上に板を置いて、黒い布テープで固定してある。
私はですね、これは仮の処置だと思っていたんです。
綺麗に整備し直すまでの経過措置。
ところが、これが変わらない。
もう何年も経っているのに、一向に変わらない。
お金がないわけじゃないと思うんですよ。
他のことには使っています。
私が、
これっておかしくない?どうしてずっとこのままなのか、変だと思いませんか?
と言うと、
私より下の世代の人は、そうですよねえ、何でこのままにしてるんでしょうねえ、
と同意してくれる。
私より上の世代の人は、こんなものなんじゃないの、これでも昔よりは良くなったほうですよ、
と反論されてしまう。
昔よりは良くなった、
確かにそうかもしれない。
昔はもっと酷かったんです。
国立劇場へ行くのに、どうしてこんな裏寂しい道を歩かなくてはいけないのだろうかって思ったものでした。
何だか知らないけれど、歩きづらい砂利の上を、みんなでジャリジャリ歩いていた。
さびしい感じだった。
戦後の何もないところから、よくここまで来た。
昔は映画館も汚かった。
昔は駅も汚かった。
昔は新幹線の中も汚かった。
私は国立劇場のこの灰皿跡の美しくなさにもう本当に耐えられないのですが、
上の世代の人は何とも思わないみたいなんです。
美しいものを普通に見ている若い世代の人たちが、
いつか国立劇場を美しく変えてくれるのじゃないかと思って、
私はずっと待っているのです。
※これは6年くらい前に、このブログに書いた記事の再掲です。
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